おまじない体操

エンタメ業界の片隅で働きながら、映画を見たり漫画を読んだり旅行したりしている者の雑記です

映画「エベレスト3D」エンタメ作じゃなかった!そして登山ビジネスは辛いよ

「エベレスト3D」を見たよ!

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 エンタメ大作~!!…かと思いきや、映像はものすご~く美しくてダイナミックなものの、登場人物多すぎて見分けがつきづらい。肝心の登山シーンでは全員ゴーグルしているし帽子だしモコモコ着込んでいるし髭面男子大いしで余計に誰が誰やら…。というのが全編通しての一番の印象。

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 ドラマとしても、なぜこの人いるの?という役割の登場人物が多かったな~。実話なので仕方がない部分もありながら、主人公のガイド・ロブと、郵便配達員でガイド代をまけてもらいながら2度目登頂へ挑むダグ、テキサス男ベック…の3人あたりにドラマを絞ってもうちょっと整理できたかもな~?と。ジェイク・ギレンホールが演じた、ロブと真逆のガイド・スコットなんか、【以下ネタバレ】あれ、いつ死んだの…?って感じ。死にまくってて誰がいつ死んだのかいまいちよく分かんなかったよ…。

 (余談ですが、少し前に登場人物が4人(ママ入れて5人)だけのシャマラン映画「THE VISIT」を見てクソ面白くってたまげたばかりだったので余計にね…。)

 前半が登頂に挑むまでの周辺環境の話で、後半は登頂からの遭難…という構成で、個人的に面白かったのは前半。エベレスト登頂までの流れが克明に描かれていて、主人公がガイドであることもあり、エベレスト登頂ビジネスの裏側やエベレスト登頂するための仕組みなんかが興味深く、面白かった。南ア隊とIMAX撮影隊がいてキャンプが混む、とか、ガイド会社にもライバル関係があるとか、ガイド費6万ドルか…とか、お坊さん在中してるんだ、とか、シェルパ必ず付く制度とか、キャンプマネージャー=おっかさんがいる、とか、第一キャンプより上はヘリ飛べないのねなるほど、とか。(関係ないけど無理やりヘリを運転するおっさんと、CNNが黙っちゃいないわよ!と大使館に啖呵を切るベックの奥さんがカッコよかった。)そのあたりを掘っても面白かったかも。

 テーマとして一番描きたかったのは、何か(この映画の場合は「登頂する」ということ)に深く憑りつかれてしまったときの諦めきれない気持ちや、そのことで判断ミスを犯してしまう怖さ、なのかなとは感じたけれど、「美しさ」なのか「人と人との運命を分ける瞬間」なのか「感動」なのか「生きて帰れるかどうかのスリル」なのか…そのあたりがふやっとしてしまった印象でした。

 予告編からもその、どっちなのかな~?な感じがふやっと漂ってきていたので、日本お得意の超泣ける!に振り切るか、いっそのこと人物が多いことを逆手にとって「誰が生き残って誰が死ぬ!?あなたには見抜けるか!」みたいな切り口で、それぞれのキャラが抱えるものを説明する形で宣伝しても面白かったかも。

 いや~、それにしても「THE VISIT」がクソ面白かったんだぜサラマクラクラン!